家族に知らされていなかったマンション

相続により、祖父が経営していた会社を孫の私が引き継いだ。
相続をするか、それとも放棄をするかは3ヶ月以内に決めなくてはならず、マイナスよりプラスが多ければ相続をする、反対であれば相続放棄をする、そのためには資産を把握する必要がある。
生前の祖父の仕事ぶりを見ていたのは祖母、
私、「婆ちゃん、カギはどこにあるの?」
祖母、「金庫の中だよ」
私、「金庫を開けるカギは何処にあるの?」
祖母、「爺ちゃんが持っとる」
私、「そのカギを持って来て」
祖母、「爺ちゃんは何処におる?」
祖母は認知が進んでおり、あてにはならない。
金庫のカギを開けるために業者さんに来てもらったのだが、古い金庫のため悪戦苦闘、すると婆ちゃんが鍵屋さんに「これを使って」と差し出したのは金庫のカギだった。
私、「持ってるなら早く出してよ」
金庫のカギは開けることが出来ても、金庫には沢山のカギが入っており、どれがどのカギだかは分からない。
小さいカギは恐らくロッカーのカギ、私が探しているのは現金等が入っていると思われる貸し金庫のカギ。
とりあえず数本のカギを持って貸し金庫へ行くと、開いた、中には相続する価値がある金品が入っていた。
気になるのは残りのカギ。
私、「これ、何のカギだか分かりますか?」
鍵屋さん、「恐らくマンションか家のカギだと思います」
爺ちゃんが暮らした家のカギではない、家族にナイショでマンションを借りていた可能性もあるため、帳簿を確認すると毎月家賃が支払われていた。
どこのマンションかを調べてもらうと、会社から徒歩1分のマンションだと分かった。
そのマンションへ行きカギを差し込んでみたのだが、奥まで刺さらない。
すると、隣の部屋の住人が出て来て、「また、鍵交換をしているの?」
私、「ここに住んでいた人を知っていますか?」
隣の部屋の住人、「高齢の男性でしょ」
その住人によると、祖父は何度もカギを失くしてしたらしく、その度に鍵交換をしていたのこと、どうやら、爺ちゃんも認知が進んでいたようだ。。
鍵屋さんにカギを開けてもらい部屋の中に入ると、中には2人分の食器が置いてあり、家族にはナイショでそこで祖父と祖母は2人だけの時間を過ごしていた。
婆ちゃんをそのマンションに連れて来たのだが、「ここは何?」、認知が進む祖母は祖父と2人だけで過ごしたことを覚えていなかった。
思い出には良いこともあれば悪いこともある、無理に思い出す必要はない。
婆ちゃんの部屋を探せばマンションのカギは見付かるだろうが、それはせず、カギは新しいのに交換をしてもらい、たまに婆ちゃんを連れて来ている。

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